2℃以上の温度上昇を防ぎましょう
今年は暑い日が続きました。東京の熱帯夜(夜間の最低気温25度以上の日)の日数は57日、真夏日(最高気温が25℃以上の日)も連続64日で計87日、さらに猛暑日(最高気温が35℃以上の日)も22日を数え、いずれも過去最多で、暑さの記録を更新しました。
東京は湿度も高く、汗が乾きにくく、体温も下がりにくく、体に熱がこもり、余計に不快に感じる夏となりました。
記録に残る日本で最も気温の高かった時代は、平安時代から鎌倉時代にかけてです。文献に残る記述から、お花見の時期、年輪の広さ、地層の状況等から、そのことが分かっています。
当時は世界的にみても気温が高かった時代ですが、兼好法師の徒然草には、冬の寒さはいろいろな方法で乗り切ることができるから、家の造りは夏の暑さ対策を十分にするようにということが書かれています。床を高くしたり壁などを少なくしたりして風通しをよくし、家の周りに池などを配置した寝殿造りは、耐え難い暑さを和らげるための工夫だと考えられています。
アスファルトの道路やコンクリートの建造物、冷房などの人間活動による熱の影響を受ける現代は、当時よりもさらに気温の上昇が激しく、私たちはこれまで経験したことのない高温の時代に生きていると言えるでしょう。
今年、東京は、平年より平均気温が2℃高くなりました。東京以外にも平年より2℃高くなった地方は、かなりあります。わずか2℃の上昇では大したことがないと考えがちですが、このような状態が続くと、人間生活に大きな影響がでてきます。
青森県の三内丸山遺跡は、5000年前、現在より2℃暖かくて主食となる栗も多く実り、獲物となる動物も多く生息していて、縄文人たちは、豊かな暮らしを送っていました。しかし、4200年前に突然気温が2℃低くなり、栗などの食料生産が激減、動物の数も減少して、縄文時代の衰退につながりました。
現代に生きる私たちは、例えば「エアコンの設定温度を適切に保つ」「アクセルの踏み加減で速度調節をする」「野菜の加熱を電子レンジにする」ことの先に生み出すエネルギーの抑制があることを想像し、これ以上気温が上昇しないよう努力をし続け、生活していく必要があります。(T.Y.)