2020年10月01日

会館だより「かけはし」

  故郷を想う「浜木綿の花」と「紫式部の実」

 故郷は伊豆諸島の周囲約36qほどの小さな島にある神着村である。(「噛付き」と隣村の子供から揶揄されたが、この島に初めて神様が来た(着いた)所という言い伝えから命名されたそうである。

室生犀星の「小景の異情け(その二)」の「ふるさとは遠くにありて思ふもの、そして悲しくうたふもの、…」と言うほどではないが、故郷は幾つになっても懐かしいものである。

 定年退職をした年の8月、妻と孫4人の6人で、生まれ故郷に帰った。

 子供の頃、体育の水泳の授業、地引網、漁船の鯵や鰯の水揚げの手伝い、磯遊びなどなどで過ごした懐かしい大久保浜の民宿に泊まり、小学校時代の恩師を訪ねたり、幼馴染の友人と旧知を温めたり、孫たちとあちこちを巡ったりして、至福の3泊4日を楽しんだ。

 孫たちとは、大久保浜の磯で、熱帯魚のようなきれいな小魚の採集(じっくり眺めた後で放流)、貝殻拾い、錆が浜での釣り(たくさん釣れたので民宿で刺身や天麩羅、煮付けにしてもらって堪能)をした。

 本当はいけないのかもしれないが、大久保浜の海辺の土手の下に転がっていた浜木綿の実を数個と、姉の家の庭に植えてあった紫式部(高貴な紫色の実が付くことから、歌人の紫式部にちなんでこの名を付けたと言われる)の小枝を持ち帰って、自宅の庭に植えた。

 それきり、すっかり忘れていた。新型コロナウイルスで自宅に籠っている毎日、縁側から猫の額よりも小さな庭を眺めていて、大きく咲いた浜木綿の花と、紫式部の小さな紫の実に気づいた。急に、故郷の島のことを胸が締め付けられるくらいに懐かしく思い出した。また、訪ねて、ゆったりと思い出に浸りたいと思った。早く、新型コロナウイルスが沈静化し、気兼ねなくいけるようになることを願っている。(錦の飾れなかったHK)

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posted by 豊島修練会 at 09:49| 会館だより「かけはし」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする