地球は大きな磁石だ 〜磁石の指す向き〜
方位磁針は、N極が北を指し、S極が南を指して止まります。でも正確にいうと、これは「北」を「北の方」、「南」を「南の方」という言葉に置き換える必要があります。それはどうしてかというと、磁石の指す北は、実際の北より少し西にずれているからです。どのくらいずれているかというのは場所によって違いますし、昔と今でも違います。現在、磁石だけを頼りに北へ100mまっすぐに進むと、北海道の稚内では20m弱、東京では10m以上、沖縄の那覇でも5m以上、西にずれた場所に行ってしまいます。
では、なぜこのようなことが起きるのでしょう。実は、磁石が指すのは北磁極であって、北極点ではないからです。北磁極があれば南磁極というのもあるわけですが、どちらの磁極も、毎日のように少しずつ位置が変わっています。
200年前、日本で初めて正確な日本地図を作ったのは、伊能忠敬です。彼が全国を測量して歩いていた頃、磁石の北と地図の北は、ほぼ一致していました。しかし現在、北磁極は北極点から約1500km離れた所にあるため、日本では、北へ向かって歩くと、北の地方ほど西へずれてしまいます。南北方向がはっきりわかる大きな公園などに行くことがあったら、磁石を頼りに歩いてみて、方位のずれを体験してみると面白いでしょう。
さて、古い地層の岩石を調べると、昔の地球の磁極の様子を知ることができます。それによると地球の南北は、過去に何回も入れ替わっていて、最後に南北が入れ替わってからでも約70万年経つそうです。そのため、そろそろまた逆転すると考えられていますが、南北の逆転は千年も一万年もかけてゆっくり行われるらしいので、朝起きたら突然南北が入れ替わっていた、ということはないようです。(T.Y.)