2022年12月01日

会館だより「かけはし」


お風呂のお湯はなぜ上の方の温度が高い?

〜 この冬の省エネに、科学の原理から迫る!! 〜

お風呂.png だんだんと寒くなってきて、お風呂が恋しい季節になりました。浴槽に適温のお湯をためる方式のお風呂には当てはまりませんが、冷たい水を温める方式のお風呂では、丁度いいと思って入ったのに、下の方はまだ温まっていなかったという経験をしたことがあるのではないでしょうか。

 『物の温まり方は三種類! @伝導 A放射 B対流』

  @ 「伝導」は物の中を熱が伝わる温まり方です。熱い紅茶のカップに入れた金属のスプーンの元のところが、だんだんと熱くなっていくのがその例です。

  A 「放射」は「輻射(ふくしゃ)」ともいい、雲の間から太陽が顔を出すと即座に暖かく感じるのがその例です。太陽からの放射熱が、遠くから何もない宇宙空間を旅して、地球までやってくるのです。

  B 「対流」は水や空気がぐるぐる動いて、全体が温まっていく熱の伝わり方です。最初に挙げたお風呂のお湯の温まり方はこの例の一つです。

 『対流は対流しない?』

対流@.png ところで、書物で「対流」のところの解説を読むと、お風呂は下の方の温められた水が上に移動し、上の方の温かい水が下に移動して、ぐるぐる回りながら全体が温まっていくと書いてあります。でも実際には、かきまぜないと、なかなか全体が温まってくれません。このようなことは、珍しいことではありません。ストーブで暖められた部屋の椅子の上に立ってみると、下の方に比べて上の方がずっと温度が高くなっていることがわかります。ですからこの場合は、温度が高くなった空気や水は、だんだんと上の方にたまっていくというのが、正しい情報だと言えます。では、なぜ本に書いてある通りにならなかったのでしょう。

 『熱源が弱いと、対流は起きにくい!』

サーキュレータ.png 本に書いてある通りにならなかったのには、いろいろな原因が考えられますが、最も多いのは、熱源からの影響です。短時間に強い対流を起こすためには、かなり強い熱が必要なのです。鍋に水を入れて、コンロで端の方を熱すると、下の方の水が上がっていき、ぐるぐるまわりながら、やがて全体の温度が高くなっていきます。この時、鍋にお味噌などを少し入れてみると、動いている様子がよくわかると思います。

 温度の高い水や空気が、上の方にたまってしまったのは、熱源が弱いと、十分な水や空気の流れが起きないからです。でも水や空気が移動して、だんだんと全体の温度が高くなっていくという対流の温まり方には、違いありません。熱源が弱くても、長い時間かかれば、やがて全体が同じ温度になっていきます。                    (T.Y.)

posted by 豊島修練会 at 15:23| 会館だより「かけはし」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする