ジャガイモ大好き! 〜その歴史と食材としての魅力を探る〜
ジャガイモの栽培面積は、コムギ、トウモロコシ、イネについで広く、ほかの作物が育たないような高地でも、栽培することができます。ジャガイモやトウモロコシ、サツマイモは新大陸のもので、コロンブスのアメリカ大陸発見のあと、世界に広まった作物です。
46才の若さで凶弾に倒れた、第35代アメリカ大統領ケネディの曽祖父は、アイルランドからの移民です。もしも曽祖父がアメリカに渡っていなかったら、ケネディはアイルランドの農民として畑を耕し、平凡な一生を送っていたかもしれません。
ケネディの曽祖父が故郷のアイルランドを離れ、アメリカに渡ることを決意したのは、ジャガイモ大飢饉です。ジャガイモをたくさん栽培するようになったアイルランドでは、西暦1754年に320万人だった人口が、100年後には820万人に増えました。けれども、ジャガイモだけに頼った食生活だったため、ジャガイモに病気が出て収穫量が激減すると、多数の餓死者が出てしまいました。そして多くのアイルランド人が故郷を捨て、アメリカに渡ったのです。
ジャガイモがヨーロッパやアジアに伝わったのは、西暦1500年からあとのことです。しかし、ヨーロッパに渡ったはじめの頃は、聖書に出ていない作物だという宗教的な偏見や、食べ方をよく知らなかったので、緑色になった部分を食べて食中毒を起こすなど評判が悪く、なかなか普及しませんでした。その後だんだんとその価値が知られるようになり、日本にも江戸時代の始めに、インドネシアのジャカルタ(当時の名前はジャガタラ)から、オランダ船で持ち込まれたと考えられています。
ジャガイモには、ビタミン・ミネラル・食物繊維がたくさん含まれています。特にビタミンⅭは、ミカンと同じくらいあり、まわりをでんぷんで保護されているため、煮ても焼いてもあまり減らないという特徴を持っています。また、体外に塩分を出す働きがあるので、高血圧を防ぎ疲労回復にも役立ちます。ビタミンⅭ・ビタミンB1・ナイアシン・カリウムなどの成分は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を防ぎ胃の健康も守ってくれます。
1年間ジャガイモだけを食べて生活していた人を調べたら、何も問題なく健康だったそうです。
優れた作物であるジャガイモ、早速今晩の食卓に載せてはいかがでしょうか。 (T.Y.)