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4本脚(あし)のツマグロヒョウモンは「こん虫」の仲間?
夏は、チョウやセミ、カブトムシなど、こん虫が盛んに活動する季節です。ところで、「こん虫」とはどのような虫のことを指すのでしょう。理科の教科書では、「からだが、頭・むね・はらの三つの部分からできていて、あしが六本ある虫の仲間をこん虫といいます。」と説明しています。ここで、はねについて触れていないのは、チョウのように四枚あるものや、ハチのように二枚しかないもの、ノミのように全くないものなど、いろいろあるからです。しかし、脚が六本ということについても、子どもたちの感覚からすれば、カマキリなどは、かまを二つ、脚を四本もっているといったほうが自然です。カマキリの前脚は、獲物をつかまえるための道具として使われ、歩くことには使われないからです。
歩く以外のことに、脚を使っているこん虫は、カマキリのほかにもいます。例えばアメンボは、二本のまん中の脚と二本のうしろ脚、合計四本の脚でふん張って水面に浮かんでいます。前脚の二本は、いつも水面に軽くつけていて、水面を伝わってくる振動をとらえるのに使っています。そして、水面に落ちたこん虫の振動をキャッチすると、すばやくその場所に近づき、今度は獲物をつかまえるために使うのです。
また、タテハチョウやジャノメチョウの仲間などは、四本の脚で花に止まっていて、ほかには、脚らしいものは見当たりません。注意深く観察している子どもたちの中には、このことに気がつき、「こん虫の脚は六本のはずなのに、何で四本しかないの?」と質問してくることがあります。脚が四本しかないように見えるのは、一番前の二本の脚は退化していて、短く折りたたまれたようになっているからです。この脚は、においや味を知るために使われていて、歩いたり物をつかんだりすることには使われません。
さて、最近よく見かけるようになったツマグロヒョウモンも4本脚に見えます。このチョウはタテハチョウ科の「こん虫」です。
ツマグロヒョウモンは、もともと暖かい地方のチョウで寒いところは苦手なため、以前、東京では見かけることがありませんでした。温暖化の影響はこのようなところにも現れています。(T.Y.)