モモやミカンの実に隠された真実とは?
夏を代表する果物のひとつであるモモも、八月の終わりになると、ミカンなどの秋の果物に主役の座をゆずるようになります。
ところでモモの実には、どれにも一本の深いすじがついていますが、これはにはどんな訳があるのでしょう。モモには、どの実にも同じところに同じようなすじがついていますから、傷でないことはわかります。
モモは、花のめしべの一部が、ふくらんで実になったものです。じつは、花を形づくっているおしべやめしべ、花びらなどは、すべて、葉が変化してできたものです。ですから、モモの実も、もとをたどれば、葉が変化して実になったもの、ということになります。表面に縦一本のすじがついているのは、モモの実が一枚の葉からできている証拠です。表面に見られるすじは、葉が巻いてくっついたところのなごりなのです。ウメやスモモにも同じようなすじが見られます。
ミカンの場合は、一番外側の皮をむくと、この実が十枚前後の葉からできていることがわかります。ミカンの場合は、中のひとつひとつの袋が、一枚の葉に当たる部分です。その証拠に、袋の背中側を見ると、縦と横に伸びる葉のすじが、白く残っている様子が見られます。私たちが食べている果汁のつまった部分は、簡単にいうと、葉の裏に生えた毛に、果汁がたまったものです。つまり、私たちはミカンの葉の裏の毛を食べているのです。また、よく実ったミカンのへたをとると、それぞれの袋に養分などを送っていた管が、袋の数だけ白いあととして見ることができます。このような実では、外側の皮をむかないでも、へたをとれば、中の袋の数を、およそ言い当てることができるのです。
果物は、つくりにそれぞれ特徴があります。食べる前によく見てみましょう。スイカも横に輪切りにしてみると、面白いつくりをしていることがわかります。 (T.Y.)