かけはし R0603月号@.pdfかけはし R0603月号A.pdf
私たちの生活にとって大切な電気 〜早期復旧を阻む技術的な困難〜
令和6年1月1日午後4時10分に、能登半島を襲った大地震は、多くの被害をもたらしました。そのなかで被災者を最も困らせたのが、大規模に起こった断水と停電です。停電になって改めて、現代の生活のなかでいかに多くのことを電気に依存していたか思い知らされることになりました。
成美教育文化会館は停電になっても、バッテリーのおかげで6時間は自動的に非常灯がつきます。薄暗くはなりますが、真っ暗になることはありません。またエレベータのために専用のバッテリーが備えつけられているので、電気が全く供給されなくなっても最寄りの階まで動いてから、ドアが開いて停止するようになっています。
生活にとってなくてはならない電気ですが、どのような仕組みで私たちのところに届けられているのでしょう。
一般の家庭には、100V(ボルト)や200V(ボルト)に降圧された(電圧が下げられた)電気が送られてきますが、成美教育文化会館のような大きな施設では、キュービクル式受電設備を使って、6600Vの電気を降圧して使用するようにしています。
発電所で作られた電気は、27万5000V〜50万Vという超高電圧にして送電線に送り出されます。なぜこのような高い電圧にするかというと、電圧が高ければ高いほど、途中で失われる電気が少なくて済むからです。超高電圧の電気は途中で何度か降圧され、私たちの身の回りの電柱の上には、6600Vの電気が流れています。電柱の上の方の、横に3本並んだ電線がそれに当たります。ところで、一番上の細い線は何でしょう。実はこの線には電気が流れていません。これは雷が落ちた時に避雷針の役割をしてくれるための線です。雷が落ちても、この線から45度の範囲にいれば被害を防ぐことができます。但し電柱や電柱のそばに雷が落ちると、その近くは被害にあう可能性があるので、電柱からは4m以上離れていた方が安全だと言われています。
6600Vの電気は、電柱のところどころにある円筒形の柱上変圧器で、100Vや200Vに降圧され、家庭に送り届けられます。地震などで電柱が倒れると、その復旧に多くの時間がかかるのは、うっかり人が触れたら大変なことになる6600Vの電気を、安全に処理するため、多くの手間がかかるからです。 (T.Y.)