かけはし R0604月号@.pdfかけはし R0604月号A.pdf
私たちの生活にとって大切な公衆電話 〜そのわけは…〜
学校で、「とる」「いれる」「おす」という順番を覚える授業があるそうです。
これは「公衆電話」の使い方を練習するための言葉です。「受話器をとる」「コイン(テレホンカード)をいれる」「番号のボタンをおす」という順番がわからないため、電話をかけられない子供が増えているのです。
1900(明治33)年に登場した公衆電話は、1985(昭和60)年頃には、全国で100万台近くが設置されていました。駅の改札口付近には、何台もの公衆電話がずらりと並んでいましたし、公園の電話ボックスや店先の赤電話など、町中いたるところで公衆電話が使えました。しかし、今ではあまり見かけません。10万台近くにまで減ってしまったのです。その数はこれからますます減っていき、2031年度末までには全国で3万台くらいになると予想されています。減った理由は、説明するまでもなくはっきりしています。携帯電話が普及して、皆が公衆電話を使わなくなったからです。2020年に、総務省が15才から85才までの日本人を対象に行ったアンケートでは、「公衆電話を過去1年間に一度も利用していない」と答えた人の数が、全体の74%を占めたそうです。年間50回以下しか使われていない公衆電話も多く、これではとても、採算が取れる利用回数ではありません。公衆電話はやがてなくなってしまうのでしょうか。
今年の元日に能登半島を襲った大地震は、多くの被害をもたらしました。この時に一番役立ったのが公衆電話です。携帯電話がかかりにくい場所でも、公衆電話だけは使えたという声が多く寄せられ、災害時における公衆電話の役割が改めて見直されました。
国は公衆電話を失くさないために、市街地では概ね1キロメートル四方、その他の区域では概ね2キロメートル四方を対象エリアとして、法律で設置を義務付けています。そして、それを維持するための交付金も用意されているので、まったくなくなってしまうという心配はありません。
万一の場合、どこに行けば公衆電話があるかを知っておくため、あらかじめインターネットの、「公衆電話設置場所検索」で調べておくことをおすすめします。(T.Y.)