かけはし R0607月号@.pdfかけはし R0607月号A.pdf
オレンジやレーズンの品不足 〜もはや高級品?!〜
近い将来、オレンジジュースが飲めなくなるのではないかという報道が出るようになりました。オレンジジュースの販売休止や値上げが増えているからです。主要な原産国であるブラジルでは、天候不順による不作が続いて果汁価格が高騰し、世界中でオレンジの“争奪戦”が起きています。
ブラジルでは20年前から長期的に生産量が減少傾向にありましたが、品質低下を招く病気が増えたり、ハリケーンや大雨など悪天候が重なり、オレンジ農家の休業や転作が増えています。このような世界的な果汁不足に加え、日本では円安が重なり、ジュースの原料となるブラジル産のオレンジ果汁の価格は3年ほどで3倍から4倍に高騰しました。
外務省が公開している2020年の統計によれば、オレンジ生産量の第1位はブラジルで1670万トン、インドが985万トン、中国が750万トン、アメリカが476万トンであるに対して、日本はわずか3万トンに過ぎません。オレンジが自由化されたのは1991年ですが、価格や味や香りで劣っていた日本のミカンは、輸入品のオレンジに需要を奪われ、大きく減少しました。それでも現在、ミカン類全体を見れば、75万トンも生産されています。それは、農家が品種改良を重ね、味や香りのよい品種をつくり出しているからです。今年、国産果汁だけを使用した飲料「農協果汁」が14年ぶりに復活したのは、よいニュースといえます。
最近もうひとつ驚いたのは、パンやお菓子に使う、レーズンの品薄と価格の高騰です。レーズンの99%は輸入ですが、その多くはアメリカのカリフォルニア産です。カリフォルニアでは、異常気象の影響でブドウの収穫量が年々落ちていますが、より高い収入が見込める、ナッツの畑が増えて、ブドウ畑そのものが減っているのです。パンのメーカーでは、製品を値上げしたり、レーズンの輸入先を変更したりして、この状態を乗り切ろうとしています。
レーズンはさまざまな栄養素がいっぱい詰まった、夏バテ予防にもなる健康食品です。一日に120〜140粒食べるようにすると、ガンの予防や、血圧・血糖値のコントロールに良い影響があるという研究結果もあるそうです。 (T.Y.)