2024年07月18日

会館だより「かけはし」

かけはし R0607月号@.pdfかけはし R0607月号A.pdf


オレンジやレーズンの品不足 〜もはや高級品?!〜

 近い将来、オレンジジュースが飲めなくなるのではないかという報道が出るようになりました。オレンジジュースの販売休止や値上げが増えているからです。主要な原産国であるブラジルでは、天候不順による不作が続いて果汁価格が高騰し、世界中でオレンジの“争奪戦”が起きています。

 ブラジルでは20年前から長期的に生産量が減少傾向にありましたが、品質低下を招く病気が増えたり、ハリケーンや大雨など悪天候が重なり、オレンジ農家の休業や転作が増えています。このような世界的な果汁不足に加え、日本では円安が重なり、ジュースの原料となるブラジル産のオレンジ果汁の価格は3年ほどで3倍から4倍に高騰しました。

オレンジジュース.jpg 外務省が公開している2020年の統計によれば、オレンジ生産量の第1位はブラジルで1670万トン、インドが985万トン、中国が750万トン、アメリカが476万トンであるに対して、日本はわずか3万トンに過ぎません。オレンジが自由化されたのは1991年ですが、価格や味や香りで劣っていた日本のミカンは、輸入品のオレンジに需要を奪われ、大きく減少しました。それでも現在、ミカン類全体を見れば、75万トンも生産されています。それは、農家が品種改良を重ね、味や香りのよい品種をつくり出しているからです。今年、国産果汁だけを使用した飲料「農協果汁」が14年ぶりに復活したのは、よいニュースといえます。

レーズンブレッド.jpg 最近もうひとつ驚いたのは、パンやお菓子に使う、レーズンの品薄と価格の高騰です。レーズンの99%は輸入ですが、その多くはアメリカのカリフォルニア産です。カリフォルニアでは、異常気象の影響でブドウの収穫量が年々落ちていますが、より高い収入が見込める、ナッツの畑が増えて、ブドウ畑そのものが減っているのです。パンのメーカーでは、製品を値上げしたり、レーズンの輸入先を変更したりして、この状態を乗り切ろうとしています。

 レーズンはさまざまな栄養素がいっぱい詰まった、夏バテ予防にもなる健康食品です。一日に120〜140粒食べるようにすると、ガンの予防や、血圧・血糖値のコントロールに良い影響があるという研究結果もあるそうです。   (T.Y.)

posted by 豊島修練会 at 10:00| 会館だより「かけはし」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年05月30日

会館だより「かけはし」


冷たい飲み物 冷たい食べ物

 昨年、東京では7月に最高37.7度を記録し、最高気温35度を超える猛暑日が22回、最高気温30度を超える真夏日は90日も観測するなど、記録的な暑さとなりました。今年は、昨年よりももっと暑い夏がやってくるのではないかと、心配されています。

 暑さを乗り切るためには、さまざまな工夫がありますが、一番手軽な暑さ対策は、冷たい飲み物や食べ物をとることです。では、昔の人はどのようなものを飲んだり食べたりして、暑さをしのいでいたのでしょう。

 今から5000年前、エジプトのファラオは、すでに雪で果汁を冷やしたものを飲んでいました。また紀元前4世紀にペルシャを征服したアレキサンダー大王も、氷で冷やした冷たい飲み物が大好物だったと伝えられています。13世紀の終わり頃、「東方見聞録」で、日本を黄金の国として紹介したマルコポーロは、その当時、牛乳から作った氷菓が北京で売られていたことを紹介しています。

 現在放映されているNHKの大河ドラマ「光る君へ」は紫式部が主人公ですが、ライバルとして「枕草子」を書いた清少納言も登場します。「枕草子」には、「削り氷に甘葛(あまずら)入れて、新しき鋺に入れたる」という記述があり、清少納言が、かき氷にツタの樹液を煮詰めた蜜をかけて食べていたことが書かれています。

 しかし、それまでの冷たい飲み物や食べ物は、冬に雪や氷を氷室に入れ蓄えておいたものだったり、夏でも雪が残っている高い山の雪を運んできたりしたものを使用していたため、手軽に飲んだり食べたりできるものではありませんでした。現在食べられているアイスクリームが安価に作ることができるようになったきっかけは、「雪に硝石を混ぜると氷点が急速に零度以下になる」という1550年頃の発見です。後に硝石でなく食塩でも同じような効果が得られることがわかり、この方法を使って、大規模なアイスクリーム作りが行われるようになりました。

 食塩を氷に混ぜるとマイナス21.5度まで下げることができます。また、道路を凍らせない目的で撒かれる塩化カルシウムを氷に混ぜるとマイナス54.9度まで下げることができます。

ドライアイス事故.png ドライアイスはマイナス78.5度で二酸化炭素になってしまうので、食品などを冷やすのにとても便利ですが、直接手で触れると凍傷を起こす危険があります。また、ドライアイスは二酸化炭素になるときに、体積が750倍にもなります。密閉した状器に入れておくと破裂して腕や顔面に重傷を負うことがあるので、絶対にやってはいけません。(T.Y.)

posted by 豊島修練会 at 10:09| 会館だより「かけはし」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年05月11日

会館だより「かけはし」


あなたはカロチン? カロテン? (私は……)

 普段、テレビやラジオで耳にする言葉のなかで、自分が学習したのとは違う言葉に出会い、戸惑うことはありませんか。

 終戦後まもなく(1947年)文部省から出された小学校学習指導要領の試案では、吐く息のなかに多いものとして「炭酸ガス」をあげています。しかし、1958年に出されたものでは、同じものを「二酸化炭素」と呼んでいます。現在使われている理科の教科書は、例外なく「二酸化炭素」という言葉を使っています。

タンブリン.jpg また、幼児から大人まで広く使われている右のような楽器ですが、学校では「タンバリン」ではなく「タンブリン」と習います。これは、文部科学省から発行されている「教育用音楽用語」という冊子(1978年改定)に用語に関する基準が示されており、教科書に出てくる音楽用語がこれに従っているためです。

 ニンジン.jpgところで以前、学校の先生は、給食などの時間に「ニンジンには体に大切なカロチンがたくさん含まれているので残さずにしっかり食べましょう」と教えていました。しかし今では「カロテンがたくさん含まれているので」と教えます。いったい、いつからカロチンがカロテンになってしまったのでしょう。実は、2000年に食品成分表がに改定された際、「カロチン」→「カロテン」と表記が変更されたのがきっかけです。

 いまの子どもたちは家庭科の授業で「カロテン」と習いますが、それ以前は「カロチン」と習っていたので、どちらの言葉を身近に感じるかで、その人の年齢が分かると言われています。

 テレビやラジオの台風情報では、気圧の高さを報道する時、「ヘクトパスカル」という単位を使います。これも以前は「ミリバール」という単位を使っていました。ヘクトパスカルとミリバールは数値が同じなので、千ヘクトパスカルは千ミリバールです。この単位が使われるようになったのは、1992年からなので、お年寄りの中には、まだミリバールのほうが実感がわくという人もいます。(T.Y.)

posted by 豊島修練会 at 11:57| 会館だより「かけはし」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする