2024年05月30日

会館だより「かけはし」


冷たい飲み物 冷たい食べ物

 昨年、東京では7月に最高37.7度を記録し、最高気温35度を超える猛暑日が22回、最高気温30度を超える真夏日は90日も観測するなど、記録的な暑さとなりました。今年は、昨年よりももっと暑い夏がやってくるのではないかと、心配されています。

 暑さを乗り切るためには、さまざまな工夫がありますが、一番手軽な暑さ対策は、冷たい飲み物や食べ物をとることです。では、昔の人はどのようなものを飲んだり食べたりして、暑さをしのいでいたのでしょう。

 今から5000年前、エジプトのファラオは、すでに雪で果汁を冷やしたものを飲んでいました。また紀元前4世紀にペルシャを征服したアレキサンダー大王も、氷で冷やした冷たい飲み物が大好物だったと伝えられています。13世紀の終わり頃、「東方見聞録」で、日本を黄金の国として紹介したマルコポーロは、その当時、牛乳から作った氷菓が北京で売られていたことを紹介しています。

 現在放映されているNHKの大河ドラマ「光る君へ」は紫式部が主人公ですが、ライバルとして「枕草子」を書いた清少納言も登場します。「枕草子」には、「削り氷に甘葛(あまずら)入れて、新しき鋺に入れたる」という記述があり、清少納言が、かき氷にツタの樹液を煮詰めた蜜をかけて食べていたことが書かれています。

 しかし、それまでの冷たい飲み物や食べ物は、冬に雪や氷を氷室に入れ蓄えておいたものだったり、夏でも雪が残っている高い山の雪を運んできたりしたものを使用していたため、手軽に飲んだり食べたりできるものではありませんでした。現在食べられているアイスクリームが安価に作ることができるようになったきっかけは、「雪に硝石を混ぜると氷点が急速に零度以下になる」という1550年頃の発見です。後に硝石でなく食塩でも同じような効果が得られることがわかり、この方法を使って、大規模なアイスクリーム作りが行われるようになりました。

 食塩を氷に混ぜるとマイナス21.5度まで下げることができます。また、道路を凍らせない目的で撒かれる塩化カルシウムを氷に混ぜるとマイナス54.9度まで下げることができます。

ドライアイス事故.png ドライアイスはマイナス78.5度で二酸化炭素になってしまうので、食品などを冷やすのにとても便利ですが、直接手で触れると凍傷を起こす危険があります。また、ドライアイスは二酸化炭素になるときに、体積が750倍にもなります。密閉した状器に入れておくと破裂して腕や顔面に重傷を負うことがあるので、絶対にやってはいけません。(T.Y.)

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2024年05月11日

会館だより「かけはし」


あなたはカロチン? カロテン? (私は……)

 普段、テレビやラジオで耳にする言葉のなかで、自分が学習したのとは違う言葉に出会い、戸惑うことはありませんか。

 終戦後まもなく(1947年)文部省から出された小学校学習指導要領の試案では、吐く息のなかに多いものとして「炭酸ガス」をあげています。しかし、1958年に出されたものでは、同じものを「二酸化炭素」と呼んでいます。現在使われている理科の教科書は、例外なく「二酸化炭素」という言葉を使っています。

タンブリン.jpg また、幼児から大人まで広く使われている右のような楽器ですが、学校では「タンバリン」ではなく「タンブリン」と習います。これは、文部科学省から発行されている「教育用音楽用語」という冊子(1978年改定)に用語に関する基準が示されており、教科書に出てくる音楽用語がこれに従っているためです。

 ニンジン.jpgところで以前、学校の先生は、給食などの時間に「ニンジンには体に大切なカロチンがたくさん含まれているので残さずにしっかり食べましょう」と教えていました。しかし今では「カロテンがたくさん含まれているので」と教えます。いったい、いつからカロチンがカロテンになってしまったのでしょう。実は、2000年に食品成分表がに改定された際、「カロチン」→「カロテン」と表記が変更されたのがきっかけです。

 いまの子どもたちは家庭科の授業で「カロテン」と習いますが、それ以前は「カロチン」と習っていたので、どちらの言葉を身近に感じるかで、その人の年齢が分かると言われています。

 テレビやラジオの台風情報では、気圧の高さを報道する時、「ヘクトパスカル」という単位を使います。これも以前は「ミリバール」という単位を使っていました。ヘクトパスカルとミリバールは数値が同じなので、千ヘクトパスカルは千ミリバールです。この単位が使われるようになったのは、1992年からなので、お年寄りの中には、まだミリバールのほうが実感がわくという人もいます。(T.Y.)

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2024年04月06日

会館だより「かけはし」

かけはし R0604月号@.pdfかけはし R0604月号A.pdf


私たちの生活にとって大切な公衆電話 〜そのわけは…〜

 学校で、「とる」「いれる」「おす」という順番を覚える授業があるそうです。

 これは「公衆電話」の使い方を練習するための言葉です。「受話器をとる」「コイン(テレホンカード)をいれる」「番号のボタンをおす」という順番がわからないため、電話をかけられない子供が増えているのです。

電話のかけ方.png 1900(明治33)年に登場した公衆電話は、1985(昭和60)年頃には、全国で100万台近くが設置されていました。駅の改札口付近には、何台もの公衆電話がずらりと並んでいましたし、公園の電話ボックスや店先の赤電話など、町中いたるところで公衆電話が使えました。しかし、今ではあまり見かけません。10万台近くにまで減ってしまったのです。その数はこれからますます減っていき、2031年度末までには全国で3万台くらいになると予想されています。減った理由は、説明するまでもなくはっきりしています。携帯電話が普及して、皆が公衆電話を使わなくなったからです。2020年に、総務省が15才から85才までの日本人を対象に行ったアンケートでは、「公衆電話を過去1年間に一度も利用していない」と答えた人の数が、全体の74%を占めたそうです。年間50回以下しか使われていない公衆電話も多く、これではとても、採算が取れる利用回数ではありません。公衆電話はやがてなくなってしまうのでしょうか。

 今年の元日に能登半島を襲った大地震は、多くの被害をもたらしました。この時に一番役立ったのが公衆電話です。携帯電話がかかりにくい場所でも、公衆電話だけは使えたという声が多く寄せられ、災害時における公衆電話の役割が改めて見直されました。

電話ボックス.png 国は公衆電話を失くさないために、市街地では概ね1キロメートル四方、その他の区域では概ね2キロメートル四方を対象エリアとして、法律で設置を義務付けています。そして、それを維持するための交付金も用意されているので、まったくなくなってしまうという心配はありません。

 万一の場合、どこに行けば公衆電話があるかを知っておくため、あらかじめインターネットの、「公衆電話設置場所検索」で調べておくことをおすすめします。(T.Y.)

posted by 豊島修練会 at 14:42| 会館だより「かけはし」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする