渦の巻き方 〜「右巻き」「左巻き」は、何によって決まるの?〜
2023年の二百十日(にひゃくとおか)は、立春(りっしゅん 2月4日)から数えて210日目(9月1日)にあたります。昔からこの時期は、大型の台風が襲ってくることが多く、過去に何度となく強い台風が日本を襲っています。台風の発生数や上陸数は8月が一番多いのですが、今年は特に8月の台風被害がひどかったです。
台風は、「タイフーン」という用語で国際的にも通用する気象現象です。同じようなものに、アメリカなどを襲うハリケーン、インドなどを襲うサイクロンがあります。
台風は北半球だけで発生し、渦はすべて左巻きです。ところが、ハリケーンやサイクロンは北半球でも南半球でも発生し、北半球で発生するものは左巻き、南半球で発生するものは右巻きとなります。これはなぜかというと、地球は、北極点上空からは左回りに自転しているように見え、南極点上空からは右回りに自転しているように見るからです。赤道の近くで発生し北に向かう台風などの渦は、自転の影響を受けて左回りになります。また、赤道付近で発生し南に向かうハリケーンやサイクロンは、自転の影響を受けて右回りとなります。
「日本では、お風呂の水を抜くと、水は左巻きの渦となって排水口に向かい、南半球のオーストラリアでは、逆に右巻きの渦となって排水口に向かう。」と説明した文に出会うことがあります。本当でしょうか?
実際に確かめてみると、渦は左巻きになることもあれば、右巻きになることもあります。
以前、小学生の自由研究に、いろいろな場所の渦の巻き方を調べたものがありました。その考察に「きちんと左巻きになったのが多かったが、実験のやり方が悪くて右巻きになったのがいくつかあった。どこが悪かったのだろう。」というのがありました。
右巻きになったのは、実験のやり方が悪かったのではありません。自転による影響はとても小さいので、台風のように、大きな渦の場合にしか影響が出ないのです。浴槽や洗面台の渦の向きは、浴槽や洗面台の形と排水口の位置によって決まってくるのです。 (T.Y.)