あなたはカロチン? カロテン? (私は……)
普段、テレビやラジオで耳にする言葉のなかで、自分が学習したのとは違う言葉に出会い、戸惑うことはありませんか。
終戦後まもなく(1947年)文部省から出された小学校学習指導要領の試案では、吐く息のなかに多いものとして「炭酸ガス」をあげています。しかし、1958年に出されたものでは、同じものを「二酸化炭素」と呼んでいます。現在使われている理科の教科書は、例外なく「二酸化炭素」という言葉を使っています。
また、幼児から大人まで広く使われている右のような楽器ですが、学校では「タンバリン」ではなく「タンブリン」と習います。これは、文部科学省から発行されている「教育用音楽用語」という冊子(1978年改定)に用語に関する基準が示されており、教科書に出てくる音楽用語がこれに従っているためです。
ところで以前、学校の先生は、給食などの時間に「ニンジンには体に大切なカロチンがたくさん含まれているので残さずにしっかり食べましょう」と教えていました。しかし今では「カロテンがたくさん含まれているので」と教えます。いったい、いつからカロチンがカロテンになってしまったのでしょう。実は、2000年に食品成分表がに改定された際、「カロチン」→「カロテン」と表記が変更されたのがきっかけです。
いまの子どもたちは家庭科の授業で「カロテン」と習いますが、それ以前は「カロチン」と習っていたので、どちらの言葉を身近に感じるかで、その人の年齢が分かると言われています。
テレビやラジオの台風情報では、気圧の高さを報道する時、「ヘクトパスカル」という単位を使います。これも以前は「ミリバール」という単位を使っていました。ヘクトパスカルとミリバールは数値が同じなので、千ヘクトパスカルは千ミリバールです。この単位が使われるようになったのは、1992年からなので、お年寄りの中には、まだミリバールのほうが実感がわくという人もいます。(T.Y.)