2023年10月28日

会館だより「かけはし」


落葉 〜この美しき自然のいとなみ〜

 秋も深まり、紅葉したり、葉を落としたりする木が増えてきました。同じ紅葉でも、赤くなる葉と黄色くなる葉では、紅葉のメカニズムが違います。

 イチョウのように黄色くなる葉は、秋になってから、黄色い色素ができたのではありません。もともと葉の中に黄色い色素があったのですが、緑色の色素に負けて、それが分からなかったのです。秋になって緑色の色素が分解されてしまうと、今まで隠れていた黄色い色素が目立つようになるというわけです。

モミジ.png これに対して、モミジのように赤くなる葉は、秋になって、初めて、赤い色素が葉の中に作られるのです。赤い色素は、よく日光に当たって、しかも昼と夜の温度差が大きいほど、葉の中にたくさん作られます。平地よりも山の紅葉が美しいのはこのためです。また、葉の中には、サクラのように、部分的に色が変わる葉もあり、同じ葉のなかに、赤いところや黄色いところができることがあります。

 落葉樹(らくようじゅ)と呼ばれる木は、夏の間、葉に日光をいっぱい受け、二酸化炭素を取り入れ、養分を作り、外へ酸素を出しています。しかし、気温が下がり、日光の当たり方が弱くなると、葉を落とし、眠ったようになって冬を越そうとしま

桜冬芽.png

す。そして落葉する頃には、来年の春のために、冬芽とよばれる芽を、用意します。野外の木で、冬芽の様子を観察してみてください。

 落葉は、葉の中に溜まった、木にとって有害なものやいらなくなったものを、体の外に出してしまうという働きもあります。ですから排気ガスなどで汚れた場所では、木の種類によっては、一年に何回も落葉することがあります。

アカマツ.png ところで木のなかには、アオキやアカマツなどのように、冬でも落葉しない、常緑樹(じょうりょくじゅ)とよばれる木があります。木の下には枯葉がいっぱい積もっていますから、常緑樹の木の葉も、古くなると順番に落ちていることがわかります。しかし落葉樹のように、一斉に落ちるというわけではないので、それが分かりにくいのです。(T.Y.)

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2023年10月09日

会館だより「かけはし」


渦の巻き方 〜「右巻き」「左巻き」は、何によって決まるの?〜

台風.png 2023年の二百十日(にひゃくとおか)は、立春(りっしゅん 2月4日)から数えて210日目(9月1日)にあたります。昔からこの時期は、大型の台風が襲ってくることが多く、過去に何度となく強い台風が日本を襲っています。台風の発生数や上陸数は8月が一番多いのですが、今年は特に8月の台風被害がひどかったです。

 台風は、「タイフーン」という用語で国際的にも通用する気象現象です。同じようなものに、アメリカなどを襲うハリケーン、インドなどを襲うサイクロンがあります。

自転と渦.png 台風は北半球だけで発生し、渦はすべて左巻きです。ところが、ハリケーンやサイクロンは北半球でも南半球でも発生し、北半球で発生するものは左巻き、南半球で発生するものは右巻きとなります。これはなぜかというと、地球は、北極点上空からは左回りに自転しているように見え、南極点上空からは右回りに自転しているように見るからです。赤道の近くで発生し北に向かう台風などの渦は、自転の影響を受けて左回りになります。また、赤道付近で発生し南に向かうハリケーンやサイクロンは、自転の影響を受けて右回りとなります。

 「日本では、お風呂の水を抜くと、水は左巻きの渦となって排水口に向かい、南半球のオーストラリアでは、逆に右巻きの渦となって排水口に向かう。」と説明した文に出会うことがあります。本当でしょうか?

 実際に確かめてみると、渦は左巻きになることもあれば、右巻きになることもあります。

以前、小学生の自由研究に、いろいろな場所の渦の巻き方を調べたものがありました。その考察に「きちんと左巻きになったのが多かったが、実験のやり方が悪くて右巻きになったのがいくつかあった。どこが悪かったのだろう。」というのがありました。

 右巻きになったのは、実験のやり方が悪かったのではありません。自転による影響はとても小さいので、台風のように、大きな渦の場合にしか影響が出ないのです。浴槽や洗面台の渦の向きは、浴槽や洗面台の形と排水口の位置によって決まってくるのです。    (T.Y.)

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2023年08月31日

会館だより「かけはし」


アオマツムシが秋を告げる頃

 まだまだ日中は暑い日もありますが、夜は、だんだんと涼しくなってきました。それとともに、野外では虫の声が目立つようになりました。

 虫の声というと、足元の草むらから聞こえてくるように思いますが、最近都会では、木の上から雨が降ってくるように聞こえてきます。これは、鳴く虫が草むらから木の上に引っ越したわけではなく、アオマツムシという木の上に住む昆虫が増えてきたためです。

 アオマツムシは、もともと日本にいた昆虫ではありません。100年くらい前の明治時代に、外国から入り込んできた昆虫です。初めて鳴き声が記録されたのは、東京の賑やかな場所として知られる赤坂です。この昆虫は木の枝に卵を産むので、輸入された苗木に卵が産み付けられていたのだろうと考えられています。幼虫も成虫も木の上に住むので、街路樹の多い都会は、彼らにとって住みやすい環境なのです。寒さには強くないので、北の地方にはいませんが、この昆虫が多くいる地方では、ほかの虫の声が聞こえないほど、うるさいくらい大きな声で鳴いています。

アオマツムシ.png アオマツムシは、50年くらい前までは数も少なく、目立つ昆虫ではありませんでした。ところが、どうした訳か1970年代になってから突然数を増やしだし、最近都会では、秋の虫の声を代表する昆虫になってしまいました。

マツムシの耳.png アオマツムシやスズムシ、マツムシは全部コオロギの仲間です。鳴くのはオスだけでメスは鳴きません。コオロギの仲間は、その鳴き声を前足にある耳で聞いています。

 小さなギザギザ.png鳴くといっても、人間のように口から音を出すのではなく、2枚のはねをこすりあわせて音を出しています。ちょうど、バイオリンのようなものです。片方の羽を顕微鏡で見ると、小さなギザギザが沢山並んでいる様子を観察することができます。そのため、はじめは美しい声で鳴いていますが、秋の深まり共に、気温も低くなり、ギザギザも擦り減ってきて、声の美しさもだんだんと失われていきます。

 今宵、屋外の虫の音に、秋の涼を求めましょう。   (T.Y.)

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2023年08月03日

会館だより「かけはし」


モモやミカンの実に隠された真実とは?


 夏を代表する果物のひとつであるモモも、八月の終わりになると、ミカンなどの秋の果物に主役の座をゆずるようになります。

 ところでモモの実には、どれにも一本の深いすじがついていますが、これはにはどんな訳があるのでしょう。モモには、どの実にも同じところに同じようなすじがついていますから、傷でないことはわかります。

モモのすじ.jpg モモは、花のめしべの一部が、ふくらんで実になったものです。じつは、花を形づくっているおしべやめしべ、花びらなどは、すべて、葉が変化してできたものです。ですから、モモの実も、もとをたどれば、葉が変化して実になったもの、ということになります。表面に縦一本のすじがついているのは、モモの実が一枚の葉からできている証拠です。表面に見られるすじは、葉が巻いてくっついたところのなごりなのです。ウメやスモモにも同じようなすじが見られます。

みかん1.png みかん2.jpgミカンの場合は、一番外側の皮をむくと、この実が十枚前後の葉からできていることがわかります。ミカンの場合は、中のひとつひとつの袋が、一枚の葉に当たる部分です。その証拠に、袋の背中側を見ると、縦と横に伸びる葉のすじが、白く残っている様子が見られます。私たちが食べている果汁のつまった部分は、簡単にいうと、葉の裏に生えた毛に、果汁がたまったものです。つまり、私たちはミカンの葉の裏の毛を食べているのです。また、よく実ったミカンのへたをとると、それぞれの袋に養分などを送っていた管が、袋の数だけ白いあととして見ることができます。このような実では、外側の皮をむかないでも、へたをとれば、中の袋の数を、およそ言い当てることができるのです。

すいか.png 果物は、つくりにそれぞれ特徴があります。食べる前によく見てみましょう。スイカも横に輪切りにしてみると、面白いつくりをしていることがわかります。            (T.Y.)


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2023年06月29日

会館だより「かけはし」

かけはし R0507月号@.pdfかけはし R0507月号A.pdf


4本脚(あし)のツマグロヒョウモンは「こん虫」の仲間?


 夏は、チョウやセミ、カブトムシなど、こん虫が盛んに活動する季節です。ところで、「こん虫」とはどのような虫のことを指すのでしょう。理科の教科書では、「からだが、頭・むね・はらの三つの部分からできていて、あしが六本ある虫の仲間をこん虫といいます。」と説明しています。ここで、はねについて触れていないのは、チョウのように四枚あるものや、ハチのように二枚しかないもの、ノミのように全くないものなど、いろいろあるからです。しかし、脚が六本ということについても、子どもたちの感覚からすれば、カマキリなどは、かまを二つ、脚を四本もっているといったほうが自然です。カマキリの前脚は、獲物をつかまえるための道具として使われ、歩くことには使われないからです。

アメンボ.png 歩く以外のことに、脚を使っているこん虫は、カマキリのほかにもいます。例えばアメンボは、二本のまん中の脚と二本のうしろ脚、合計四本の脚でふん張って水面に浮かんでいます。前脚の二本は、いつも水面に軽くつけていて、水面を伝わってくる振動をとらえるのに使っています。そして、水面に落ちたこん虫の振動をキャッチすると、すばやくその場所に近づき、今度は獲物をつかまえるために使うのです。

 また、タテハチョウやジャノメチョウの仲間などは、四本の脚で花に止まっていて、ほかには、脚らしいものは見当たりません。注意深く観察している子どもたちの中には、このことに気がつき、「こん虫の脚は六本のはずなのに、何で四本しかないの?」と質問してくることがあります。脚が四本しかないように見えるのは、一番前の二本の脚は退化していて、短く折りたたまれたようになっているからです。この脚は、においや味を知るために使われていて、歩いたり物をつかんだりすることには使われません。

ツマグロヒョウモン.png さて、最近よく見かけるようになったツマグロヒョウモンも4本脚に見えます。このチョウはタテハチョウ科の「こん虫」です。

 ツマグロヒョウモンは、もともと暖かい地方のチョウで寒いところは苦手なため、以前、東京では見かけることがありませんでした。温暖化の影響はこのようなところにも現れています。(T.Y.)

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