2025年10月04日

会館だより「かけはし」

かけはし R0710月号@.pdfかけはし R0710月号A.pdf


スズメバチに気を付けましょう

 〜 共生するために、ヒトが知恵を身に付けるということ 〜


 2月の「かけはし」で「クマに気を付けましょう」という話を書きましたが、残念なことに、今年も夏までに、全国で5名の方がクマに襲われて命を落とされました。これからは、ますますクマの危険性に気を配っていく必要がありそうです。

オオスズメバチ.jpg ところで、犠牲者の数だけを考えると、年間10名前後の犠牲者が出ている毒ヘビのほうが怖い存在かもしれません。でもクマや毒ヘビよりもっと怖いのは、スズメバチです。スズメバチに刺されて亡くなる方は、1年間で20名前後もいるからです。スズメバチの仲間であるアシナガバチは、スズメバチほど怖い存在ではありませんが、スズメバチよりも身近な存在なのでやはり気を付ける必要がありそうです。

アシナガバチの巣.jpg 一度に沢山のハチに襲われたり、首の後ろや眼球などの急所を刺されたりする以外は、一度くらいハチに刺されただけでは、命を落とすことはありません。しかし一度刺されたことがある人は、ハチ毒に対するアレルギー反応(アナフィラキシー)を起こしやすくなっており、二度目に刺された際に、ショック症状や命の危険につながる可能性があります。スズメバチやアシナガバチに二度刺された場合に、アナフィラキシーを発症した場合、死亡する確率は約17〜20%だと言われています。アナフィラキシーは発症から短時間で死に至る危険があるため、二度目に刺された場合はすぐに医者に診てもらう必要があります。

 スズメバチは旧女王も、新女王を送り出した後、働きバチたちと運命をともにするように生涯を閉じます。スズメバチは最も長生きする女王でも、寿命は一年と限定されていて、一つの巣が冬を超えて存続することはありません。ハチの巣の利用は1年限りで再利用されることはないのです。

スズメバチの巣.jpg 生き残った新女王は単独で越冬します。この越冬した女王バチが、4月から6月にかけて、一匹で巣作りを始めます。女王バチは、この巣の中に働きバチとなる卵を産み付け、自分で育てます。この時期は攻撃性がほとんどありません。6月から7月にかけて働きバチが羽化するようになると、女王バチは産卵に専念するようになりまます。その後は働きバチの数が増え、巣は急速に大きくなっていきます。巣は球形となり、攻撃性も強くなるの注意が必要です。

スズメバチやアシナガバチは、クヌギなどの樹液にも集まりますが、肉食性でいろいろな虫を食べます。

 恐ろしい害虫ではありますが、農業害虫が増えるのをおさえる効果が期待できることから、 益虫とみなされることもあります。生活に支障がない場所にある巣は、刺激せず静かに様子を見守ってください。また、ハチは、黒い色に向かって攻撃してくるので、なるべく黒い服を避け、巣に近づかないなど、ハチを刺激しないような行動をとってください。(T.Y.)

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2025年08月31日

会館だより「かけはし」

かけはし R0709月号@.pdfかけはし R0709月号A.pdf


バッテリーの発火事故に気を付けましょう

〜時に、自己判断の誤りが大きな過ちを犯す〜


 9月になっても、まだまだ暑い日が続いていますが、最近リチウムイオン電池による発火事故の報道が増えています。

アシスト自転車.jpg リチウムイオン電池は軽くて高いエネルギーが得られるので、ノートパソコン、モバイルバッテリー、スマートフォンなどの小型電子機器から、電動アシスト自転車、電気自動車、太陽光発電など幅広い分野で利用されています。最近はファンのついた作業着なども広く使われるようになりました。しかし、モバイルバッテリーは、高温下に放置すると、発火のリスクが高まります。晴れた日に高温の車内に放置するのは危険です。また落としたり強く押さえつけたりすると発熱の原因になります。

電動ファン.jpg モバイルバッテリー関連の事故件数を調べると、モバイルバッテリー、スマートフォン、電動アシスト自転車からの出火が多いですが、今年は特に、ハンディファンが原因とみられる火災が相次いでいます。手軽に使えるものなので、うっかり日向の窓ぎわに置いたまま、置き忘れて事故になったという例が報告されています。ファンのついた作業着などは、間違えて他の衣類とともに洗濯してしまうことがありますが、一度水に濡れてしまったバッテリーは乾かしても使用するのは危険です。

バッテリー火災.jpg また、リチウムイオン電池は、燃えないゴミとして捨ててはいけないということを覚えておいてください。今年、リチウムイオン電池が原因とみられるごみ処理場での火災が、全国各地で相次いでいます。リチウムイオン電池を内蔵した製品が、不燃ごみや粗大ごみとして混入し、ごみ収集車や処理施設で発火するケースが増えています。リチウムイオン電池は、他のごみと混ぜて捨てずに、各自治体のルールに従って、適切に廃棄してください。(T.Y.)

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2025年08月02日

会館だより「かけはし」

かけはし R0708月号@.pdfかけはし R0708月号A.pdf


気温の変化と私たちの生活

〜自然環境の中で生かされているということ〜

 毎日暑い日が続きます。7月に入ってから各地で猛烈な暑さが続いていて、7日には全国のアメダス観測地点914地点のうち210地点が35℃以上の猛暑日になりました。熱中症による健康被害も深刻です。昨年(令和6年)の5月から9月までの全国の熱中症による救急搬送者数は97,578人で、都道府県別では東京都が全国最多の8,100人でした。今年はそれをさらに上回るのではないかと心配されています。

 東京では年平均気温が100年あたり約2.5℃上昇していますが、2004年7月20日には最高気温39.5℃を記録し、観測史上最高となりました。この年、東京は6月としては真夏日が観測史上最多となり、梅雨明けも例年よりかなり早まりました。今年とよく似ています。

 「昔の夏は今ほど暑くなかった」などと耳にしますが、実際のところはどうなのでしょう。現在の東京都の年平均気温は、100年前の熊本県、宮崎県、鹿児島県よりも暑くなっているのです。日中の最高気温が35℃以上の猛暑日や、夜間の最低気温25℃以上の熱帯夜も増えています。私たちが、昔よりも「酷い暑さ」だとか「寝苦しい夜」と感じるのも不思議ではないのです。

 温室効果ガスの増加による地球温暖化と、コンクリートやアスファルトによる熱の蓄積、建物の密集による風通しの悪さなどにより、これから年々暑さが増していくと考えられます。十分な暑さ対策を心がけてください。

 ところでこの先、気温が低下することはないのでしょうか。実は地球全体の気温が低下し、氷河が発達した時期が何度もありました。約200万年前から約1万年前まで続いた、史上最大規模の氷河時代(第四紀氷河時代)、日本では約10万年前から始まり、約2万〜1万8000年前に極寒に達しました。この時期は.海水が凍り、世界中で海面が約120mも低下しました。アジアとアラスカの間が陸続きとなり、ここを通ってアジアから北アメリカに人類が移住したと言われています。

日本橋雪晴図.jpg 氷河期ほど極端ではありませんが、14世紀半ばから19世紀半ばの約500年間、「小氷期」と呼ばれる時期がありりました。特に江戸時代中期頃は非常に寒かったそうで、隅田川が凍ったという記録が残っています。(T.Y.)

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2025年07月03日

会館だより「かけはし」

かけはし R0707月号@.pdfかけはし R0707月号A.pdf


木陰が涼しい理由 〜人間の日常生活は自然の恩恵を受けている〜

しおれた植物.jpg 東京は6月としては真夏日が観測史上最多となり、東京の梅雨明けも例年より早まりそうです。今までに梅雨明けが一番遅かったのは1982年の8月4日ですから、その年に比べれば、およそ1カ月も早い計算になります。晴れた日には、コンクリートの床面や金属でできた手すりは、触れないほど熱くなってしまいます。でも、木の幹や木の葉は熱くなりません。木陰も涼しく感じます。これはどうしてでしょう。

 実は、植物は根から大量の水分を吸い上げ、それを葉から絶えず空気中に放出することで、温度が高くなるのを防いでいるのです。

 日陰の植物は、それほど強い日光に当たる必要はありませんが、多くの植物は葉に日光を受け、光合成によって、エネルギーの素になる養分を作りだします。そのため、どうしても、葉に日光を受ける必要があるのです。貯めてある水分を空気中に放出し、根から吸い上げた水分で、放出によって失われた水分を補充するのですが、もしも新たな水分が補充されないと、葉はしぼんだ風船と同じようになり、しおれてしまいます。

元気になった植物.jpg 木のサイズにもよりますが、樹木1本あたりでは、一日に数十から数百リットルの水分を空気中に放出しなければなりません。草原の植物は、樹木よりももっとその量が多くなり、1平方メートルあたり10リットルの水分を放出すると言われています。

 水分を放出するためには、それに見合う水分を根から吸い上げる必要があります。地面から生えている植物は地中から水分を吸い上げることができますが、プランターや鉢植えの植物は、それができません。真夏の日中、水やりを忘れると、簡単にしおれてしまうのはそのためです。

 植物への水やりというと、一般的には土にかけるイメージが強いと思いますが、植物は葉からも水分を吸収します。そのため、水やりをするときは土だけでなく、葉全体に水がかかるようにするとよいでしょう。特に湿度が高い熱帯雨林に生えていた観葉植物は、むしろ根よりも葉から水分を吸収する能力が備わっています。

 但し、真夏の日中に葉に水をかけるのは避けてください。葉に当たった水滴がレンズの役割を果たし、日光で葉焼けを起こしたり、土中の水温が上がりすぎ、根腐れの原因になったりする可能性があるためです。水やりは、朝の涼しい時か、夕方涼しくなってから適度に行うのが良いでしょう。  (T.Y.)

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2025年06月04日

会館だより「かけはし」

けはし R0706月号@.pdfかけはし R0706月号A.pdf


ゼムクリップと安全ピン 〜この小さくも便利な道具の生い立ち〜

 ・ゼムクリップ

ゼムクリップ.jpg クリップの中で、最もありふれているのがゼムクリップです。長さが10p〜20pの針金を3回曲げただけの単純な作りで、どこにでも売っていて値段もとても安い道具です。作りは簡単で素材も普通の針金なので、時間をかければ小学生でも作ることができます。しかし、クリップとして必要なスプリング機能もきちんと持っているので、それほどたくさんの枚数でなければ、しっかりと役目を果たすことができます。

 ゼムクリップを誰がいつ発明したのかについては、はっきりしていません。しかしそれほど古いことではなく、19世紀末のことです。それまでは、紙を止めるためにはピンが使われていました。ピンはうっかりすると指を傷つける心配があり、紙に穴が開いてしまうという欠点があります。日本では「和綴じ」といって糸で縛る方法が使われていましたが、やはり紙に穴が開いてしまうし、少しの枚数をいちいち和綴じにするのは面倒です。そんな意味で、ゼムクリップは「20世紀をつくった日用品」のなかで、その代表にあげられています。

 ・安全ピン

ギリシャ時代の安全ピン.jpg 指を傷つけないようにするための道具に「安全ピン」があります。布地と布地を重ね合わせて留めるためには、昔から先端を鋭くとがらせたピンが使われてきました。しかし、今から2000年以上前の古代アテネでは、女性はマントを固定する際、とがったピンを使うことを禁じられていました。あるとき、ピンが凶器として使われ、兵士が殺害される事件があったからです。そのかわりとして、現在の安全ピンに似た、留め金付きのピンが使われていました。

安全ピン.jpg 現在使われている安全ピンは、アメリカ人のウォルター・ハントによって発明されたものです。ある日、針金をいじっていたハントは、1本の針金を真ん中でコイルのように巻くと、バネのようになることを発見し、広がろうとする針金の両端を留め金で固定することを思いつきました。ハントはこのアイデアを図面に起こして、1849年4月に特許を取得し、その権利を売ることで、今の価値で1万ドルの収入を得ることができたということです。 (T.Y.)

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