かけはし R0512月号@.pdfかけはし R0512月号A.pdf
物の価格 〜その裏にある、それぞれの事情〜
ガソリンの価格が高騰しています。政府の補助金によって1リットル170円台には抑えられていますが、それがなくなると、1リットル200円前後になってしまうそうです。
ガソリンの価格は1966年当時、1リットル50円でした。二度のオイルショックで、177円にまで値上がりしましたが、リーマンショックで100円近くにまで値下がりしました。その後、だんだんと値上がりしていきましたが、2016年に米国が原油の輸出を解禁すると、値下がりして 109円になりました。それから、まただんだんと値上がりして、150円を超えましたが、コロナショックで需要が落ち込み、120円台に値下がりしました。
現在、ロシアによるウクライナ侵攻や円安で、ガソリンの価格は再び値上がりしています。中東情勢の行方次第では、これから先どうなるかわかりません。
ガソリンのように社会情勢によって価格が大きく変動するものもあれば、年々値下がりするものや、あまり変わらないものがあります。
近年、最も値下がり幅が大きいもののひとつに、USBメモリーがあります。2000年当時、16メガバイトのUSBメモリーは8,000円くらいしました。ところが今は、記憶容量が16メガバイトの1,000倍に当たる16ギガバイトのUSBメモリーが1,000円以下で買えますから、価格が1万分の1になったということになります。
最近、鳥インフルエンザや飼料価格の高騰で値上がりが問題になっている鶏卵は、100年前の大正時代には1個7銭でした。カレーライスが1杯7銭の時代ですから、それほど気軽に食べられる食材ではなかったようです。また50年前には、鶏卵1個14円という記録が残っています。つまり飼育業者の努力によって、この50年間ほとんど値上がりしていないのです。50年前と比べて、あんぱんが3倍、かけうどんが5倍の値段になっていることを考慮すると、鶏卵のある程度の値上がりは、やむを得ない気もします。
ところで、バナナは、1960年代前半までは病気のお見舞いなど、特別な時にしか食べられない「高級品」でした。それが1963年の輸入自由化で大幅に価格が下がり、今では気軽に食べられる栄養満点の食べ物の代表になっています。 (T.Y.)