かけはし R0706月号@.pdfかけはし R0706月号A.pdf
ゼムクリップと安全ピン 〜この小さくも便利な道具の生い立ち〜
・ゼムクリップ
クリップの中で、最もありふれているのがゼムクリップです。長さが10p〜20pの針金を3回曲げただけの単純な作りで、どこにでも売っていて値段もとても安い道具です。作りは簡単で素材も普通の針金なので、時間をかければ小学生でも作ることができます。しかし、クリップとして必要なスプリング機能もきちんと持っているので、それほどたくさんの枚数でなければ、しっかりと役目を果たすことができます。
ゼムクリップを誰がいつ発明したのかについては、はっきりしていません。しかしそれほど古いことではなく、19世紀末のことです。それまでは、紙を止めるためにはピンが使われていました。ピンはうっかりすると指を傷つける心配があり、紙に穴が開いてしまうという欠点があります。日本では「和綴じ」といって糸で縛る方法が使われていましたが、やはり紙に穴が開いてしまうし、少しの枚数をいちいち和綴じにするのは面倒です。そんな意味で、ゼムクリップは「20世紀をつくった日用品」のなかで、その代表にあげられています。
・安全ピン
指を傷つけないようにするための道具に「安全ピン」があります。布地と布地を重ね合わせて留めるためには、昔から先端を鋭くとがらせたピンが使われてきました。しかし、今から2000年以上前の古代アテネでは、女性はマントを固定する際、とがったピンを使うことを禁じられていました。あるとき、ピンが凶器として使われ、兵士が殺害される事件があったからです。そのかわりとして、現在の安全ピンに似た、留め金付きのピンが使われていました。
現在使われている安全ピンは、アメリカ人のウォルター・ハントによって発明されたものです。ある日、針金をいじっていたハントは、1本の針金を真ん中でコイルのように巻くと、バネのようになることを発見し、広がろうとする針金の両端を留め金で固定することを思いつきました。ハントはこのアイデアを図面に起こして、1849年4月に特許を取得し、その権利を売ることで、今の価値で1万ドルの収入を得ることができたということです。 (T.Y.)

